女性の骨盤の中には子宮や膀胱、直腸などの臓器が収まっています。これらの臓器が本来あるべき場所から膣壁を押し出して、膣の出口のほうへ下がってきた状態を骨盤臓器脱とよんでいます。
骨盤臓器脱には「子宮脱」「膀胱瘤」「直腸瘤」「膣断端脱」があります。

骨盤臓器脱
子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤は姿勢を正すこと(体操療法)、体重を減らすこと、腸内環境をよくすること(食事療法)で自分で改善することができます。
施術者の役割はそのためのアドバイスやお手伝いをすることです。

原因

姿勢・動作(内臓下垂、不自然な腹圧)、体重の増加、精神的なストレス、子宮の手術などが考えられます。
せき、くしゃみ、妊娠・出産、便秘などがきっかけとなることもあります。

姿勢について

ヒトは直立二足歩行に移行したことから腰痛、内臓下垂、そして骨盤臓器脱などの苦難を背負ったと言われています。したがって、健康な毎日をすごしていくためには、できるだけ腰部や骨盤底筋部に負担のかからない姿勢、できるだけ内臓が下垂しない姿勢を身につけることが重要になります。

治療

専門医への受診と並行して行ないます。

自然との調和

骨盤臓器脱は生活習慣病という見方をするとわかりやすくなります。
生活習慣病を治すためには生活を正して自然治癒力を高めていけばよいのです。そのためには、ふだんの「呼吸」「睡眠」「食事」「運動」「心の持ち方」などの生活習慣をひとつひとつていねいに見直していくことが大切です。骨盤臓器脱は「運動・姿勢」と「食事・体重」を見直していくことが基本となります。

症状(部分)だけをみるのではなく生活(全体)をみる
からだは丸ごと全体でひとつです。症状(子宮脱など)を部分的に治そうとするのではなく生活習慣(姿勢、食事)を見直して全体(全身)をよくしていくことが大切です。生活を正して(原因を正して)からだ全体の気の流れ、血液の流れをよくすることによって部分(子宮脱など)は「自然」に改善してくれます。

体操療法・整体

おじぎ体操、骨盤底筋体操で姿勢を調えます(調身)、呼吸を調えます(調息)、こころを調えます(調心)。よい姿勢になると腰部や骨盤底筋部に負担がかからなくなります。下垂した内臓も元の位置に戻ってくれます。
からだが楽になるとこころも楽になってきます。からだとこころがリラックスすると自然治癒力、免疫力、生命力が高まります。そして結果的に子宮脱や腰痛、肩こり、頻尿、尿漏れ、痔、鼠径ヘルニアなどが連動して改善します。

骨盤底筋体操について

当院ではオリジナルの「骨盤底筋体操」を行っています。
インナーマッスル体操、体幹トレーニング体操というよび方もできます。

動きは少ないですが、横隔膜呼吸(腹式呼吸、背中呼吸)で行いますので気持ちのよい汗が出てきます。

骨盤底筋体操を行っていて肩や腰が疲れたりするようであれば、それは正しい方法で体操が行われていないからだと思われます。
自然な動き、自然な呼吸で体操すると自然に肛門や尿道、膣が締まり、下垂した内蔵も元の位置に戻ってくれます。

骨盤底筋体操の目的は骨盤底筋を鍛えることではなく、下垂した内蔵を元の位置に戻して骨盤底筋に負担がかかからないような体にすることが本来の目的です。内蔵が下垂したまま骨盤底筋を鍛えても疲れるだけで途中でやめてしまいたくなります。症状が改善することもありません。

正しい骨盤底筋体操を身につけると仙骨に柔軟性が出てきて泌尿器、生殖器、消化器の機能がよくなります。
そして結果的に子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤や頻尿、尿漏れ、前立腺肥大症、ED(勃起障害)、生理痛、痔、鼠径ヘルニアなどが連動して改善してくれます。

いつでも どこでも だれにでも かんたんにできます。

腹圧について

よい姿勢、よい動作で生活していると下腹に力が入り自然な腹圧がかかります。わるい姿勢、わるい動作で生活していると下腹に力が入らないため不自然な腹圧がかかります。

よい姿勢で自然な腹圧がかかる状態であれば激しいスポーツや力仕事をしても大丈夫です。
わるい姿勢で不自然な腹圧がかかると何げない動作で尿もれが生じたり、痔や鼠径ヘルニア、骨盤臓器脱などになることがあります。

健康な毎日をすごすためには、下腹に力が入り自然な腹圧がかかるような姿勢・動作を身につけることが大切です。

骨盤臓器脱と鼠径ヘルニア

一般的に鼠径ヘルニアを治す方法は手術をするしかない、といわれています。しかしながら、しっかりとした骨盤底筋体操を身につけると鼠径ヘルニアは自分で治すことができるようになります。骨盤臓器脱も同じです。

くわしくは

 鼠径ヘルニア(脱腸) をご覧下さい。

手術と自然療法

手術をして一時的にその場をしのぐ方法と生活習慣・生き方を見直して根本的に治す方法のどちらを選択するのかによって今後の健康状態や人生が大きく変わってきます。

くわしくは

 姿勢について おじぎ体操 をご覧下さい。